美しいパンチはケガ知らず〜手首について〜
まず初めに痛くなる場所
キック初心者の方がまず痛めてしまう箇所、第一位は「手首」です。簡易型のバンテージでも必ず装着して行うことが大切です。
またいくらバンテージで保護していてもパンチの打ち方が良くないとすぐに手首を痛めてしまいます。
手首を痛めないパンチの打ち方
手首にストレスのかからないパンチの打ち方でまずポイントとなるのがサンドバック(相手)との適切な距離です。
適度に遠い位置から以下の2点に意識を向けてパンチを打ちます。
①腰と肩を入れ、肘を伸ばすこと
②こぶし(中指の付け根)に当てること
こぶしからの衝撃は手首の中心を通ります。その衝撃は肘➡︎肩を通り、背骨や下肢といった、身体中の関節全体で衝撃を分散させることができます。
つまり、正しい場所からの衝撃が、正しい位置に置かれた各関節に順々に伝達され、吸収されていくのです。
相手からの衝撃が各関節の中央を通る
手首を痛めるパンチの打ち方
逆に、手首を痛めるパンチの打ち方は、サンドバック(相手)との距離が近すぎることで生じてしまいます。
このことが原因で起きる問題は次の2点です。
①肘と手首が曲がりすぎていること
②小指側に当たってしまうこと
サンドバックとの距離が近すぎると、肘が曲がり、手首が外側に曲がりますよね。するとどうでしょう、小指側にサンドバックが当たり、衝撃も小指付近を通ります。
この衝撃は手首の外側に伝わり、手首も外側に曲がっているため、尺骨と手根骨の間(尺骨手根間隙)にストレスが一点集中してしまいます。結果として手首の痛みの原因となり、さらには手関節TFCC損傷といった、治療の対象となる可能性も出てきます。
ブラジャーと肩甲骨可動域の制限
脱線ですが、、長年トレーニングをしていて、パンチで中々肩が前方に伸びにくい人がおられますが、やや女性に多いなと感じていました。
ある日、先輩の理学療法士 兼 ヨガインストラクターにそのことを相談してみると、ブラジャーによって肩甲骨が外に開く動作(上方回旋)が制限されている人は多いよ、とのことでした。
パンチで肩を前方に伸ばす時に肩甲骨はしっかり外側に開く必要がありますが、下着により制限されているとパンチも打ちにくいはず。
全ての原因がこれ一つの訳は無いですが、運動用ブラなどの伸縮性のある物が、もしかしたら有効なのかもしれません。また、性別に関わらず、まずはパンチの前に肩甲骨の可動性を引き出すストレッチや軽い運動を行うことで、伸びやかなパンチを打てる近道になるかも。
まとめ
この世の中には色々なものがありますが、自然に対して理にかなっているものは自然物でも人工物でも、私たち人間はシンプルで美しいと感じてしまう傾向にあるようです。美醜は価値観によると思いますが!
例えば新幹線とか、PCのマウスとか、葉っぱとかカタツムリの甲羅とか。
スポーツの中で見受けられる動作にも同じことが言えると思っていて、野球のバットスイングやバレーのアタック、バスケのシュートフォームなど、繰り返し練習を積むことで、無駄な動きは削ぎ落とされていき、重力や慣性に沿ったシンプルなフォームに近づいていきます。鍛錬されたスポーツ選手のフォームは本当に美しいと感じてしまいます。
繰返し繰り返し、正しい動作を反復することで、強く、怪我のしにくい、そして美しいパンチが打てるようになります!