構えに戻って、心を整える

一生懸命になって打ちまくる問題点

まず習得すべきは自然なフォームだと思います!

私はキックを初めたてのころ、サンドバッグやスパーリングで練習していると、興奮し、がむしゃらに技を連続で繰り出し、フォームがめちゃくちゃになってしまうことが多々ありました。

今トレーナーをしていて、生徒さんも同じ状況になっているなーと感じることが良くあります。

特に習い始めは、パワーとスピードよりもフォームを意識することが大切です。

なぜなら、「理想的なフォーム」という土台があって初めて、その上にパワーとスピード、テクニックという要素が蓄積されていくためです。

しかし、基本的にミットなど激しい動きの中では、いちいちフォームを意識することは難しいと思います。

ではどうすれば、連続的な激しい運動の中でもフォームを意識してトレーニングを行うことができるのでしょうか?

構えに戻るということ

とにかく連続でがむしゃらにパンチをしていると、自分のフォームから意識が離れ、気づかないうちにどんどん変な方向に進んでいくことがあります。

そこで声掛けとして行うことは一つだけ。

「打ち終わり、ゆっくりでいいので構えに戻りましょう」です!

どんどん変な方向に進んでいる時というのは、「1→2」に、「2→3」に、加算方式に増えるだけ増えて、逆に戻る余裕が無い状態と言えます。

そこで、いったん構えに戻る=ゼロポジションに戻ることで、心を整える、興奮を静める、外に向いていた意識を自分のフォームに向けることが可能となり、初動から意識し直すことが出来るようになります。

ボクシングの世界タイトルマッチをお時間ある時にご覧になってみてください!

あんなに素早い攻撃の中でも、しっかり構えに戻っていることがお分かりいただけると思います。

またご自身でも、実際に試してみると、すごく効果のある方法だなと実感していただけると思います。

0に戻るって便利

皆さんにも、例えば道に迷ってしまった時、物を無くした時、「最初ってどうだったっけ?」と思考を逆方向に傾けると、「あ~そうだった」と物事がうまくいった経験があるかと思います。

原点回帰」とも言いますが、人生の壁にぶちあたった時には頭の中をリセットして、「そもそも今の自分は自分の在るべき姿なのか」と客観的に眺めてみることが大切なポイントだと考えています。

そうすると、進むべき方向が案外すっきりしたりします。

まとめ

キックでも、日常生活でも、きちんとゼロポジションに戻る癖を身に着ければ、自分の姿や位置を俯瞰的に捉えることができます。

その癖をつけるのにうってつけなのが、キックボクシングだと考えています。

「蹴る」「殴る」という原始的で激しく興奮しやすい要素を含む動きの刹那に、しっかりと構えに戻り心を整えるという練習を行う。

この180度違う感情のコントロールを身に着けることが出来れば、日常生活もきっと穏やかに過ごすことが出来るはずです。

それでは、今年もお世話になりました。

良いお年をお迎えください。